野菜・果物を多く食べ、飲酒・喫煙をしないことが食道がんの一番の予防

野菜・果物を多く食べると、食道がんになる危険度が低くなることがわかっています。

また食道がんになる危険度を高くする飲酒・喫煙の影響もおおきいだす。

1日2合(360ml)以上の飲酒習慣・喫煙習慣のある人は、どちらの習慣もない人に比べ、「野菜・果物を食べる量が低(少ない)・中(ふつう)」だと食道がんにかかる危険度が7.67倍にもなります。

「野菜・果物を食べる量が高(多い)」だとそれより下がるものの、まだ2.86倍です。

食道がんは、野菜・果物を多く食べ、飲酒・喫煙をしないことが、一番の予防策といえます。



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食道の病気:食道憩室

病態

憩室とは壁にポケットのようなクボミができたものです。

食道に憩室ができたものが食道憩室です。

高齢の男性や結核の後の癒着でしばしば見られます。

症状

無症状ですが、憩室が炎症をおこすと胸の痛みや、出血を呈します。


検査

消化管造影検査: バリウムにより食道の造影検査をします。
胃カメラ: 内視鏡による食道の観察が最も効果的です。


治療

普通は治療の対象にはなりませんが、症状が強いとき、出血を呈しているときは治療を施します。憩室が破れて穴があいてしまうと、緊急手術が必要になります。




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食道がんの進行速度

食道がんは、がんのなかでも進行速度が速いがんとして有名です。

その理由は2つあります。

まずは、食道がんが初期の段階では自覚症状があまりないという点です。

日本人がかかる食道がんは、食道下部の粘膜にがんができる場合が多く見られます。

なにかを食べたり飲んだりしたときに、このがんにひっかかることで違和感を覚えることでようやく自覚できる状態になりますが、それでも初期段階のがんは決して大きくないため、気づきにくいという特徴があるのが食道がんなのです。

薬を飲んで検査をするとしても、肝心のがんの部分がひっかかることなく薬だけが食道の中を流れていくので、これも食道がんを発見しにくい理由のひとつではないかと考えられます。

自分自身が覚える小さな違和感としても、なにかがしみる、ひっかかるという程度で、大きな痛みを伴うのはがんが進行してからになります。

固形物が飲み込めないというような状況になった場合は、既に初期症状が進行した状態です。
そのため、気づいたときにはがんの進行を許してしまっていて、進行速度が速いと感じることが多いのです。

食道がんの転移が発生しやすい粘膜下層にがんがたどりついたとき、急に進行速度が速まります。

食道の粘膜下層には、リンパ節や血管が集中しています。

ここからリンパ液や血液をたどって全身へとがん細胞を運び、ほかのリンパ節や臓器にがんを転移、再発させてしまうのです。

この進行速度の急激な変化も、食道がんが進行速度が速いと考えられる要因です。

早期発見があまり簡単ではなく、気づいたときには転移の準備をしている、それが食道がんです。




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食道をそこなわない食道がんの治療

食道がんの放射線治療は、食道の機能と形態をそこなわずに治療ができます。

放射線治療には放射線を体の外から照射する外部照射と、食道に放射線が出る物質を挿入する腔内照射があります。

その際、のどの渇き、嘔吐、食欲低下、などの副作用が出る場合があります。

手術ができないところにがんがある場合や放射線が当てられないところにある場合

ほかの臓器に転移がある場合は、抗がん剤による化学療法が行われます。

抗がん剤の投与は点滴で行い、4~5日間かけて行うためこれまで入院が必要でしたが、最近では新しい抗がん剤が開発され、通院で治療を行うこともできるようになっています。

抗がん剤によって、腎障害の副作用を起こすことがあるため、利尿剤を併用します。

食道がんは放射線治療だけで治療するよりも抗がん剤など化学療法を同時に行うとより効果が高まります。

化学放射線治療は放射線治療と化学療法を同時に併用する治療法です。

手術が行えない患者さんや転移がある患者さんなどに行われます。

同時併用で効果は高まりますが、副作用も増加します。




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食道がんと終末期医療

食道がんが進行すると、どんな治療をもってしても、完治は非常に困難なものになってきます。

治療は完治目的のものから、終末期医療へと変わっていきます。

死を安らかに迎えるためのケアへとシフトしていくのです。

終末期治療では、末期の代表的な症状である激しい痛みを緩和することを中心に行われます。

余命を快適に過ごすことができるようような対策が必要となってくるのです。

がんが末期状態になると、がんと共存しながら余命を過ごして行く事となるのです。

手術や放射線治療、抗がん剤などによる闘病で体力がなくなり、ベットから離れられなくなってしまう方もいます。

食道がんが骨に転移してしまったら、激しい痛みを感じることも多くなるもの。モルヒネなどで痛みを緩和しつつ、最期の時を過ごすことになります。

身体的苦痛、精神的苦痛を取り去ることが、終末期医療の最も重要な役割となってくるのです。

ですから、痛みによる苦痛を和らげることによって、静かな心で静かな時を送ることができるようになるのです。

さらに、食道がんでの終末期医療は、自宅で行うか、ホスピスなどの専門病院で過ごすかという選択も必要となってきます。

どちらを選択してもメリット・デメリットはあります。

自宅での終末期医療は、住み慣れた場所で家族に囲まれながら寛いだ環境の中で過ごすことができるというメリットがあります。

その一方で、医師の往診や看護士の出張看護による医療サポートなどを受けるこの方法は、支える家族にとってはかなり大変なこと。介護の苦労も大きいものです。

食道がんの末期となると、多くの場合、余命は半年ほどと言われています。

最期の時をどのような形で迎えるのか、どのような過ごし方が患者や家族にとって最良なのかをよく話し、家族や医師そして患者自身の意見も考慮して、選択することが大切なことなのです。





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逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは、胃液や胃の内容物などが食道に逆流することにより、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。

胃液には、胃酸という食物を消化するための強い酸が含まれていますが、食道の粘膜は、胃の粘膜とは異なり胃酸の消化力を防ぐ機能を持たないので、胃酸が食道に逆流すると粘膜の炎症が起きます。

逆流性食道炎は、60歳以上の高齢者に多く発症し、特に女性の高齢者に多いといわれています。

主に欧米でよく見られた病気でしたが、日本でも増加の傾向にあります。

日本での逆流性食道炎の増加の理由としては、食事スタイルの欧米化、社会全体の高齢化などがあるとされています。


逆流性食道炎の原因

胃酸が逆流する原因は、胃酸の過剰分泌です。

欧米化した食生活、すなわち肉や油っこいものなど脂肪分が多い食品を日常的に摂取するような食生活を送っていると、胃の活動が活発になりすぎて胃酸の分泌量が増加し、また胃酸の逆流が起きやすくなります。
食物の過剰摂取も胃の活動を活発にし、胃酸の過剰分泌を招きます。
 
また、下部食道括約筋の機能の低下も原因です。

下部食道括約筋とは、食道と胃のつなぎ目にあり、胃から食道への逆流を防ぐ働きをする筋肉です。

この下部食道括約筋が、老化や胃の手術などによりその機能が低下してしまうと、胃酸の逆流が防げなくなります。逆流性食道炎の患者に高齢者が多いのはこのためです。

腹圧の上昇も逆流性食道炎の原因として考えられます。具体的には、肥満やベルトなどによる腹部の締め付けや、しゃがんだり重いものを持ったりするなど力むことにより胃が圧迫され腹圧が上昇し、胃酸の逆流が起こりやすくなるというものです。


逆流性食道炎の症状

逆流性食道炎の症状にはいくつかの種類がありますが、中でも胸やけ・嚥下障害・呑酸は、逆流性食道炎の三大症状といわれています。

逆流性食道炎の症状のひとつであるせきが、呼吸器疾患である喘息と関係があるともいわれています。

これは、胃から食道へ胃酸が逆流する際に、気管支内に胃酸が吸入されてしまい、吸入された胃酸が気管支に刺激を与えて喘息の症状を悪化させるというものです。


逆流性食道炎の検査

逆流性食道炎の検査は、内視鏡検査が中心となります。

細長い管の先端にビデオカメラなどがついた医療機器で、一般的には胃カメラと呼ばれているものですが、この内視鏡を主に口から挿入し、食道内の状態を検査します。

逆流性食道炎は症状が特徴的なので、医師が患者の症状を見るだけで診断ができる場合もありますが、診断を確定するために、また他の病気ときちんと区別するためにも内視鏡検査を行います。

その他の検査としては、phモニタリングや問診などがあります。
 
逆流性食道炎の検査とその内容

内視鏡検査

主に口から内視鏡を挿入し、食道内の状態を調べる
胃酸の逆流による食道粘膜のダメージ(びらん・ただれ等)の程度を確認する
逆流性食道炎の検査の中心


phモニタリング

食道内にカテーテルを挿入し、食道内のph(酸度)を測定する
食道への胃液の逆流を調べる


問診

逆流性食道炎の自覚症状、生活習慣、既往症(過去にかかった病気)、現在服用している薬などについて医師から質問される


逆流性食道炎の治療

逆流性食道炎の治療としては、薬物療法、手術療法、生活習慣の改善などがあります。

薬物療法では、飲み薬が使用されます。手術療法は、現在のところあまり一般的ではありません。

また生活習慣の改善としては、食生活の見直しや腹圧の上昇を抑えることなどがあります。
 

逆流性食道炎の予防

食生活の見直しがあげられます。欧米化した食生活や食物の過剰摂取は胃の活動を活発にし胃酸の分泌を促進するので、胃への刺激が少ないものを腹八分目程度に摂取することを心がけましょう。

腹圧の上昇を抑えることもあげられます。腹圧の上昇は、胃を圧迫し胃酸の逆流の原因になるため、ベルトでお腹をきつく締めすぎない、無理をして重いものを持たない、肥満に気をつけるなどです。



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食道がんの自覚症状について

食道がんは、発見が遅れやすいがんでもあります。

食道がんの自覚症状としては、1つ目としては、何か物を食べた際に、つかえを感じたり、しみる感じを覚えるという事が挙げられます。

何か熱いものを食べたというような場合でもしみるような感じを覚えたりする事が挙げられます。

がんが少し進行して大きくなってくると、食道の内腔が、ガン細胞の増殖によって狭まれてしますため、食べ物を飲み込もうと思った際に多少つっかえた感じがするようになってきます。

食道ガンの2つ目の症状としては、嘔吐が挙げられます。

なぜ起こるのかというと、そもそも食道癌が大きくなり、食道を塞ぐ程までの大きさになってくると、食べ物や飲み物を飲み込もうと思ってもなかなか飲み込めなくなってしまい、そのために吐いてしまうのが原因となります。

3つめの症状としてが、咳や血痰というのがあります。

食道ガンが進行してしまって、その範囲が気管や肺にまで達してしまった場合に、それらを刺激して咳や血痰が出るといった症状が見られる場合があります。

4つ目としては、胸痛が挙げられます。
食道がんが進行してしまって、その範囲が背骨や肺にまで達してしまった場合に、胸の痛みであったり、背中の痛みという症状が見られる場合があります。

5つ目の症状としては、嗄声があります。これは「させい」と読みますが、もともと食道の横には、声帯の動きを調節してくれる神経が通っているのですが、食道ガンが進行してしまって、それらの神経までも侵してしまうと、嗄声が起こるといった事があります。

食道がんになると、食事がまともになかなか取れなくなるという事の影響で、体重が減少するという症状も見受けられます。




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食道がんの遺伝

がんの原因のひとつではないかと考えられているのが、遺伝です。

食道がんの場合は、がんそのものの遺伝性ではなく、食道がんになりやすい体質の遺伝という面が指摘されています。そにひとつがアルコールの分解能力です。

食道がんの原因のひとつに、飲酒が挙げられています。

過度な飲酒や喫煙との併用などが食道の粘膜を傷つけることはよく知られていますが、飲酒にはもうひとつ注意すべき点があります。お酒を飲んだときに顔が赤くなる場合です。

アルコールは、発がん性があるという指摘がされています。
通常、アルコールは消化酵素によって分解されますが、しかしこの分解の速さは、人によってさまざまです。

お酒を飲んで顔が赤くなる人は、分解が間に合わず、アルデヒドという発がん性物質が体内に残ってしまうことになるのです。

食道は、このアルデヒドの影響を受けやすい部分であり、そのため飲酒が食道がんの原因になりうるのです。

分解酵素は体質によるものであり、日本人は比較的この分解能力が弱いと言われています。

お酒に弱いという自覚がある方、顔が赤くなるとよく言われる方は、飲酒の量を考えるとよいでしょう。

食道がんの原因は遺伝だけに求められるものではなく、生活習慣にも大きく影響する部分があります。

食道がんになるリスクが高いと考えられている、喫煙や飲酒という日常の習慣が家族で共有されていれば、食道がんにかかる可能性も等しく高くなるということになります。

食道がんで気をつけなければならない熱い飲食物や、辛味の強い味付けの料理などを日常的に味わうことが多い家族であれば、全員にがんのリスクが同じように高まります。




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食道がんの有無を調べる検査

食道がんの有無を調べる検査がいくつかあります。

よく使われる検査法の1つに、内視鏡検査があります。小さながんでも発見できるのがメリットとなります。近年でも、はじめから内視鏡検査でがんを見つけることが多くなってきました。

X線を使った検査には、X線造影検査があります。バリウムを飲んで、食道を流れ落ちるタイミングで撮影していきます。

他には、ルゴール染色法という方法もあります。

これは、潰瘍や食道炎などの、がんと紛らわしい病気が併発しているような場合におこなうことがあります。

ルゴール液を食道内壁に吹き付けると、正常な細胞はルゴール液に染まって、がんの組織は染まらないという特徴を利用しています。

がんの疑いが強い場合は、組織の細胞の一部を採取して、顕微鏡で検査する生検があります。

生検を受ける場合は、出血しやすい体質のことやアスピリンなどを服用していることを、前もって医師に伝えておくことが必要になります。

生検では、まれに出血する事例などがあるためです。




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食道がんの進行と転移を調べる検査

深さを調べる超音波検査

食道の粘膜にできたがんが、どの程度の深さまで進んでいるのかを調べるためには、超音波検査を行っていきます。

表面だけを見ても、がんの進行具合は分からないため、超音波を使用していきます。

内視鏡の先端から超音波を発信して、その超音波の反射の状態を調べて、がんの深さを把握することができます。


リンパ節転移を調べるCT、MRI検査

がんが食道の壁から、まわりのリンパ節や臓器に転移しているかを調べるには、CT、MRI検査をおこないます。

最新の検査方法として注目されているのが、超音波内視鏡下穿刺吸引法です。

内視鏡の先端から超音波を発信して、がんの場所を確認しながら、リンパ節に針を刺して、組織を採取していくという方法です。

従来の超音波内視鏡検査では、がんの進行度などから、リンパ節転移の予測をしていましたが、EUS-FNAB法では、組織を直接調べられるようになったので、正確な診断が可能になりました。

精度の高い診断ができるのがメリットですが、医師の高い技術が必要なことや、検査ができる医療機関がまだまだ少ないことなどが課題となっています。


がんの悪性度を調べるPET検査

PET検査は、一度の検査で全身への転移の有無を調べることができる方法です。

従来の方法では、肺、気管支など、食道から転移しやすい部位を1つずつ検査していました。

PETでは、放射線を放出するブドウ糖を静脈に注射したあと、からだから放出される放射線を画像に映していきます。

ん細胞は、ふつうの細胞よりも分裂が早く、ブドウ糖を多く取り込むという性質があります。このため、放射線が多く放出された箇所は、がんである可能性も高くなります。

CTもPETも、患者さんはあお向けに寝て、機器の中を通るだけです。検査による痛みや副作用の心配は全くありません。




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食道がんの転移しやすい箇所

食道がんの約9割は、食道の粘膜の上皮に発生する扁平上皮がんであると言われています。

食道がんは粘膜の上皮にがん細胞が発生しますが、がん細胞が増殖するにしたがって、がん細胞が広がるだけでなく、粘膜の下にも侵食していきます。

その後も増殖を続けるがん細胞は食道の外部にも広がっていくことになり食道の周りにある臓器もがん細胞に侵食されてしまうことがあります。

このようながん細胞の周辺臓器への広がりにより、食道がんは他の臓器に転移します。

食道は、食道壁の中も周囲も、血管やリンパ管が豊富な臓器です、そのため、食道ががん細胞に侵されると、血管やリンパ管にがん細胞が流れ込みます。

血液やリンパ液の流れにのったがん細胞は、リンパ節でがん細胞を増殖させ、また、肺や肝臓、骨などでがん細胞を増殖させることになります。

血液やリンパ液によってがん細胞が運ばれ、増殖することによっても食道がんの転移が起こります。

食道がん自体、食道を取り除くだけでなく、頸部食道がん、胸部食道がん、腹部食道がんと、食道がんの種類によって、周辺臓器を切除する必要があります。

転移をともなう食道がんは身体へのダメージも大きく、治療や手術も難しいものになる場合が多いです。

食道がんが再発した場合、その大半が転移によるものといわれています、食道がんは再発すると、治る可能性は大変低く、余命も短い場合が多いです。

食道がんは進行するにつれ、治療が難しいものが多くなるといえます。




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食道がんの末期

食道がんの末期症状としては、吐き気や嘔吐、痛み、呼吸困難などさまざまです。

食道がんの末期の場合は、手術や治療を受けてがんが治るというものではありません。

抗がん剤を投与する化学療法や、放射線治療のほか、痛みなどの症状を緩和させるための治療が行われることが多いです。

食道がん末期で、がんの治療のために手術を行うというケースはほとんどありません。

食道がんは早期に発見されるケースは少なく、自覚症状があらわれ、食道がんと診断されるときには、進行している場合が多いがんのひとつです。

食道がんはリンパ節に転移しやすいがんでもあり、再発した場合は、治る可能性が低いがんのひとつでもあります。

食道がんの末期、食道がんが再発した場合に、患者さんとご家族に残された時間は、あまり長いものではありません。

担当医と最適な治療方針を相談し、患者にとってよりよい方法を選択し、痛みや苦痛を取り除くような、治療を選択することが多いようです。

末期においての治療方針などは、食道がん患者さん本人やご家族の意思が特に優先される場合も多いようです。

食道がんに限らず、すべての余命を告げられる病気において、どのように過ごすかは個人差があります。

人間としての尊厳を優先し、残りの時間を家族と過ごす、自由に生きる、数パーセントの可能性でも延命のために手術を受ける、投薬治療を行うなど、選択肢はさまざまです。




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喫煙と食道がんリスク

喫煙と食道がんの関係は世界各地から報告されています。

2010年の米国公衆衛生局長官報告による包括的リスク評価によると、現喫煙者のリスクは生涯非喫煙者と比較して7~8倍に及んでいます。

2004年の国際がん研究機関による評価では喫煙は人への発がん性においてグループ 1(ヒトに対する発がん性が認められる)に分類されています。

喫煙は食道がんのリスク要因として広く認められています。

喫煙するのに加えてほぼ毎日飲酒する男性は、どちらの習慣もない人たちと比べて食道がんになるリスクが9~11倍あることが、東北大の調査でわかった。

たばこの関与が特に大きく、患者の約7割は喫煙しなければ、がんにかかるのを避けられた計算になるといわれています、

緑茶を1日5杯以上飲む人は飲まない人と比べて1.7倍リスクがありました。

理由ははっきりしませんが、熱い飲食物は、食道がんの危険を高めるとされています。





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喫煙と肺以外の癌

たばこが癌の発生に深い関係があることっは知られていますが、 すべての癌のうち約3割の癌では、喫煙が関係していると言われています。

特に、たばこの煙が直接触れる部位にできる癌とは極めて密接な関係があります。


各種の癌とたばこが関係する割り合い

病名 たばこが関わる割合 病名 たばこが関わる割合
喉頭癌  96%  胃癌  25% 
肺癌  70%  脳腫瘍  25% 
咽頭癌  65%  直腸癌 15% 
口腔癌  60%  食道癌  50%
 


明らかにたばこを吸う人は吸わない人に比べて癌になりやすいと言えます。

米国において、1940年代から1950年代にかけて肺癌で死亡する男性が急激に増加しました。この原因は、1920年代から1930年代にかけて紙巻きたばこが全米に普及したためと考えられています。

たばこの普及は20年から30年後に、癌患者の急激な増加という形で社会的に大きな問題を引き起こしてくるのです。現在、若い女性でたばこを吸う人の割合が増加しています。

特に、これから子供を産み育てていく若い女性の喫煙は、確実にその子供にも影響を及ぼします。自らの体だけでは無く、次の世代をも蝕むたばこは一刻も早く止める必要があります。





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食道がんの病期(ステージ)別治療

食道がんの治療は主に病期により決定されます。

病気の進行ぐあい,全身状態,心臓・肺機能などによって治療が異なります。


0期
粘膜にとどまるがんでは、食道を温存できる内視鏡的粘膜切除術が可能です.切除した組織でがん細胞の拡がりを調べることができないため,レーザー治療は標準治療ではありません.がんの範囲が広いために内視鏡的に切除できない場合には,手術治療や化学放射線療法も検討されます。

I期
外科療法が標準治療です.化学放射線療法により,手術をせずに臓器を温存しつつ手術と同等の治癒率が得られるという報告も出てきました.

しかし,化学放射線療法では副作用は放射線療法のみに比べると強くなるので,体力が十分でない場合は放射線療法のみが望ましい場合もあります。

II期 III期
外科療法が標準治療です.再発・転移の防止のために手術前後に化学療法または化学放射線療法を行うこともあります.一方、治療前の検討で体力が手術に耐えられないと判断された場合には,化学放射線療法や放射線療法が選択されます.

IV期
通常,IV期では手術を行うことはなく,化学療法や化学放射線療法が行われます.がんの著明な縮小を認めることもありますが,すべてのがんを消失させることは困難です.全身状態が不良な場合には化学療法ができないことがあります.また,がんによる食道の狭窄により通過障害があるときなどは,症状に応じて放射線療法も行われます。

IV期ではがんによる痛みや呼吸困難などの症状を緩和するための治療が重要になります.症状緩和の治療技術はかなり進歩してきており,多くの症状を軽減することが可能となっています。




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食道がんの予防

胃がん検診時には食道検査も受けるようにしましょう。

内視鏡的粘膜切除術の普及によって、早期食道がんの治療は負担の少ない、より安全なものになってきました。

この方法の対象となるのは、あくまでも早期がんの場合です。

食道がんに限らず、がんの早期発見のためには定期的に検査を受けることが大切です。

食道がんの発生率が高いとされている50歳以上の男性で喫煙や飲酒をする人は、胃がんの定期検診時に食道がんの検査も受けるようにしましょう。


食生活で心がける点

・バランスのとれた食事を心がけます。
・暴飲暴食は控えます。
・脂肪分をとりすぎないようにします。
・緑黄色野菜をたっぷりとります。
・塩辛いものは控えめにし、熱い料理は適度に冷ましてから食べます。
・魚や肉などの焦げた部分は避けます。また、過度の飲酒、特にアルコール濃度の高いお酒の飲みすぎやタバコの吸いすぎにも注意が必要です。日ごろからウォーキングなどの適度な運動を続けることも、食道がんをはじめとするあらゆるがんの予防につながります。





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食道がんの診断方法

食道がんの診断方法には、レントゲンによる食道造影検査と内視鏡検査があります。

がんの拡がりぐあいをみるために、CT検査、超音波検査、内視鏡超音波検査などを行います。そ

の他、骨シンチ、MRI検査、PET検査も施行する場合があります。

食道造影検査(レントゲン検査)
バリウムを飲んで、食道を通過するところをレントゲンで撮影する検査です。造影検査ではがんの場所やその大きさなど全体像が見られます。また、食道の壁の動きぐあいなどから、がんの深さなども予想できることが多いですが、粘膜にとどまる平坦ながんの場合は診断が不可能な場合も多く、次の内視鏡検査も必ず行います。

内視鏡検査
内視鏡検査は病変を直接観察できることが大きな特徴です。病変の位置や大きさだけでなく、病巣の範囲や表面の形状、色調などから、病変の数や、ある程度のがんの進展の深さを判断することができます。

内視鏡検査でがんが疑われた場合には、ヨウ素液を使った色素内視鏡検査が追加されます。

ヨウ素液をかけると、正常な食道粘膜は黒く染まりますが、がんなどの異常がある部位は染まらずに、通常の観察ではわかりにくい病変も見つけることが可能です。

食道がんの診断は、内視鏡検査の時に直接組織を採取し、顕微鏡検査でがん細胞の有無を調べることで確定されます。

超音波内視鏡検査
内視鏡の先端についた超音波装置を用いて、食道壁の構造を知ることができます。

食道がんがどの位の深さまで進展しているか、食道の周囲にあるリンパ節が腫れていないかなどについてより詳細な情報を得ることができ、治療方針の決定に重要な役割を果たします。

がんにより食道内腔が狭くなっている場合は、内視鏡が到達できず正確な診断できないこともあります。

CT検査
��T(コンピューター断層撮影)は身体の内部を輪切りにしたように見ることができるX線検査です。

��Tでは、がんの食道周囲臓器(気管・気管支・大動脈・心臓など)の直接浸潤の有無、頚部から腹部までのリンパ節転移の有無、肺や 肝臓などの臓器転移の有無などの診断に有効です。

進行がんにおいては進行度を判定するため最も重要な検査です。

超音波検査
超音波検査は、体表から頚部と腹部について行います。頚部や腹部のリンパ節転移の有無や肝臓への転移の有無を調べることができます。




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食道がんの外科療法

胸部食道癌

 原則的に胸部食道を全切除します 。同時に胸部のリンパ節を摘出します。

胸の中にある食道を切除するために、右側の胸を開きます。

当院では胸腔鏡を使って開胸せずに 食道を切除する方法も開始しています。

開胸を行わずに 頸部と腹部を切開し食道を引き抜く術式もあります。この術式では 食道の周囲のリンパ節を切除できません。


腹部食道癌

 腹部食道の癌に対しては、左側を開胸して食道の下部と胃の噴門部を切除します。左側の開胸による手術は胸部・下部食道癌で肺機能の悪い人にも行われることがあります。

これは、左開胸による手術のほうが、右開胸の手術よりも、手術としての侵襲が小さいとされているためです。

ただし、左開胸からのアプローチでは、上・中縦隔のリンパ節を郭清することは困難です。


外科療法の合併症

 手術に続いて発生する余病(合併症)は 肺炎、縫合不全 、肝・腎・心障害です。

これらの合併症が死につながる率、すなわち手術死亡率 (手術後1ヵ月以内に死亡する割合)は3~5%です。これは、ほかの臓器の手術に比べ、格段に高い割合となっています。

これらの発生率は、手術前に他の臓器に障害をもっている人では さらに高くなります。




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胃酸過多と食道がん

胃酸過多が長期間続き、食道が逆流した胃酸をあびつづければ食道がんのリスクが大幅に高まります。

食道がんは食道の組織内に悪性腫瘍が出来る病気です。

がん細胞には無秩序に増え続けると言う性質があり、離れた臓器に転移して増殖することもあります。

日本人の食道がんのほとんどは粘膜を作る扁平上皮細胞にできる扁平上皮がんです。

粘膜の層の内部にある腺細胞ががん化した病気は腺がんと呼ばれます。

女性よりも男性の方が多くかかる病気であり、喫煙や飲酒の習慣が大きな原因であるといわれています。




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胃酸過多の効果的な治療方法

胃酸過多は、暴飲暴食やストレスなどで発症します。

胃酸の分泌が過剰になっている状態で、濃度の高い胃酸が胃壁にダメージを与えます。

胃痛や胸焼け、吐き気、ゲップなどが胃酸過多の主な症状です。

これ以外に、口臭が強くなる、味覚が悪くなる、便秘や下痢を繰り返すと言った症状も見られます。

胃酸過多は早めに治療するのが重要です。

胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎などに発展する事も多く、食道ガンや胃ガンの原因になる可能性もあります。

治療には胃酸を抑える薬が処方されます。

薬を飲むと症状は抑えられますが、食生活やストレスを改善しなくてはいけません。

漢方薬も体質を根本的に改善する治療法として有効です。

基本的には食生活を見直す食事療法を行わないと、有効な薬を漢方薬も効果がなくなってしまいます。

食事療法として、胃の中の酸性とアルカリ性のバランスを保つ食事が重要です。

酸性とアルカリ性のバランスが崩れてしまう為、胃酸が過剰に分泌されてしまうのです。

胃酸のバランスを正常に保つ効果的な食べ物は、大豆や小豆、豆納などで、納豆や豆腐、味噌などがあります。

大豆は海藻類と一緒に食べると効果的です。

魚類ではヒラメ、カレイなど白身魚、鶏肉などです。鶏肉は皮の部分は避けて食べる様にします。

消化に良い食事を心がけ、特に酸っぱい物は避けます。辛い物、カフェイン、アルコールも治療の妨げになるので、控えて下さい。

大量の食事を食べると、胃酸過多の人じゃなくても胃酸が多く分泌されます。

消化が追い付かづ消化不良を起こしてしまう為、胃酸過多で治療中の方はの食事は少量を何回かに分けて食べる様にすると効果的です。

早食いする人はゆっくり食べる様に意識して下さい。

治療には、薬や漢方薬で症状を緩和し、食事療法で治療すると効果的なのです。



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胃酸過多を改善する為の飲み物

胃酸過多とは、胃酸の分泌量が多くなったり胃酸の濃度が高くなっている状態の事を言います。

病気ではないのですが、放っておくとあらゆる病気に発展する可能性が高いので、早めの対処が必要です。

胃酸過多になると、食事をした後や空腹時に、胸焼けや胃痛、吐き気、どの症状が現われます。

口臭もきつくなり、定期的には嘔吐を繰り返したりもします。

胃酸過多を改善するには病院で治療を受けるのはもちろんですが、同時に食生活の改善も必要です。

毎日の食事では消化の良い物を食べる様にしますが、その際、飲み物にも気を付けなければなりません。胃酸過多は刺激の強い物は飲料でも悪影響なのです。

日常で避けたい飲み物は、アルコール、コーヒーや緑茶、紅茶などカフェインの物、炭酸飲料、ジュース、ビールなどです。コーヒーやアルコールは習慣化している方が多いかと思います。

特にコーヒーにミルクと砂糖を入れて毎日大量に飲むという人は、意識してコーヒーを飲む回数を減ら避ければなりません。アルコールも控える様にするべきです。

胃酸過多に効果的な胃酸を抑える飲み物

胃酸を抑える効果的な飲み物は、牛乳です。牛乳でも低温殺菌された牛乳でないと効果がありません。

普通の牛乳は過剰に2倍以上の高温で加熱殺菌されている為、水とあまい大差がないと言います。

低温殺菌の牛乳は有効な主成分が死滅される事無く豊富に含まれており、その牛乳が胃酸を抑える効果があるのです。

牛乳は胃酸過多で傷んでいる胃壁に膜を作り、胃を守る作用もある為、胃酸過多で胃痛の症状がある方にはお勧めです。

飲む際には、冷たいままではなくホットミルクにして少しづつ飲むようにすると効果的です。




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胃酸過多を改善する為の食事と食べ方

胃酸過多で治療を受ける場合、胃酸を抑える薬など内服薬を処方してもらうと思いますが、同時に食事や食べ方も指導されます。

胃酸の分泌が多くなる原因には消化の悪い食べ物とストレスが考えられます。

消化の悪い食べ物を消化する為に、濃度の高い胃酸を分泌して消化しようとする為、胃酸が多く分泌されるのです。

ストレスは、自律神経が乱れ交感神経が活発になる事で、胃酸の分泌が過剰にあるのです。

また、よく噛まずに早食いも胃酸を過剰に分泌させる原因となっています。

胃酸過多になってしまったら、毎日の食事は消化の良い食事をしましょう。

脂質の多い肉や油の多い食事は避けます。

酢の物や辛い物、甘い物、カフェイン、アルコール、炭酸飲料もなるべく避けるようにします。

果物でもみかんの様な柑橘系の果物も避けるようにしましょう。

胃酸を抑える食べ物として大根おろしが非常に良いと言われています。

消化酵素のジアスターゼが豊富に含まれており、食べ物の消化を助ける作用があります。

消化酵素には発酵食品にも豊富に含まれている為、納豆や味噌なども胃酸過多にはお勧めの食品です。

この他、梅干し、卵、豆腐、白身魚、なども胃酸を抑える作用があり積極的に取り入れると良いでしょう。

消化が良い食事というとおかゆがありますが、毎日食べるのは厳しいのでいつもより水を多くして柔らかめに炊きます。

消化の悪い食品を避け、消化の良い食品を多く摂るようにし、少量を何度も分けて食べる様にすると良いようです。

胃が空っぽになってしまうと、胃酸過多の症状が強く出てしまいますので、3食の食事を少しづつ何回にも分けて食べる食べ方が良いようです。

大食いや早食いはいくら消化の良い食事を心がけても、胃に負担が掛り良くありません。

1回の食事は少なめに、消化の良い食品をゆっくりと食べると言う事が、胃酸過多を治療する食事の仕方です。




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胃酸過多を改善する為の市販薬の選び方

胃酸過多の場合、胃酸を抑える作用のある胃薬を選びましょう。

H2ブロッカー
H2ブロッカーや胃粘膜修復薬、制酸薬、複合胃腸薬と書いてあるものです。

H2ブロッカーは病院でも処方される成分で、「ガスター10」などCMでもおなじみの胃薬があり、錠剤や粉薬、液剤などいろんなタイプの形状があります。

制酸剤
制酸剤は胃酸を中和させる成分が配合されており、胃酸の濃度を抑えてくれます。

制酸剤に胃粘膜修復薬やH2ブロッカーなどが配合されている市販薬が多いようです。例えば、「サクロンS」「パンシロンAZ」などです。

複合胃腸薬
複合胃腸薬は消化酵素や胃粘膜保護成分などが含まれており、胃の働きが低下している方にも効果があります。

胃だけでなく、腸の機能も低下している場合、消化酵素、制酸剤、健胃成分そして乳酸菌が含まれている、「第一三共胃腸薬プラス」が効果的です。


市販薬を購入する際の注意点
胃酸過多で市販薬を購入する場合の注意点ですが、H2ブロッカーの場合、第一類医薬品の為必ず薬剤師の説明を受けて下さい。

他の薬と併用すると相互作用が起きる可能性もある為、他に飲んでいる薬がある場合も薬局の薬剤師に相談して下さい。

胃酸過多の症状のみならば市販薬は効果的ですが、胃ガンやその他の病気のサインを見逃す危険性もあります。

市販薬を服用しても症状が改善されず長期継続している場合は、検査を受けるようにしましょう。




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胃酸過多に効果が期待できる漢方薬

胃酸過多とは、胃酸が過剰に分泌される、または、塩酸の濃度が高くなる症状の事を言います。

原因として油の多い食事、肉の多い食事、インスタント食品などを多く摂る事で起こりやすくなります。

食事の量が多い方や、早食いの人、ストレスがある方なども胃酸過多になりやすいといいます。

胃酸過多を改善するには漢方薬の中にも効果的なものがあります。

安中散(あんちゅうさん)

『安中散(あんちゅうさん)』という漢方薬は、桂皮、延胡索、牡蠣、うい香、甘草、縮砂、良姜を配合して作られています。

効能として、胃酸過多からくる胃の痛みや胸焼け、ゲップ、食欲不振、吐き気などの不快な症状を軽減してくれる作用があります。胃酸過多だけでなく神経性胃炎や胃潰瘍、慢性胃炎、胃アトニー、胃下垂などの治療にも効果のある漢方薬です。

体質として、痩せ型で冷え症の人に用意られる事が多い漢方薬です。
安中散を服用すると、まれに発疹やかゆみなどの症状が起きる場合があります。

四逆散(いぎゃくさん)

『四逆散(いぎゃくさん)』という漢方薬は、柴胡、芍薬、枳実、甘草、などを配合して作られている漢方薬です。

胃酸過多の症状ツライ症状を、緩和してくれる働きがあります。
酸だけでなく胃痛や慢性胃炎、胃アトニーなどの症状にも効果のある漢方薬です。

この他の漢方薬

ストレスが原因で胃酸過多になってしまった方に良く効く『甘草瀉心湯』
胃痛の症状が目立つ方にお勧めの『柴胡桂皮湯』

胸焼けやゲップなど胃酸過多が原因で、逆流性食道炎の症状が現われている方には、『黄連湯』という漢方薬が良く効きます。

漢方薬は薬の様な速攻性は無く、少なくとも半年は飲み続けなければいけません。

薬と違って副作用などのリスクが少なく、体質そのものを根本的に改善してくれるのです。

胃酸過多は習慣病でもあり、薬の症状が治まっても再発しやすいのです。

漢方薬は根本的な体質改善が可能な治療法で、胃酸過多を根本的に改善し根治に努めます。




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胃酸過多の症状に効くツボ

おすすめのツボと押し方のポイント

胃酸過多とは胃酸の分泌が過剰になっている状態です。

胃酸過多になると、胸焼けや胃痛、吐き気、ゲップなど様々な不快な症状が現われます。

不快な症状を緩和する為に、効果的なツボがあります。症状が出た時、ツボを指圧してみて下さい。

胃腸点

手の平の、親指の付け根と手首の境の丁度くぼんでいる所です。胃酸過多の症状が出ている時、ここを刺激すると痛みを感じる場合もあるようです。

痛くない程度に、胃腸点のツボをゆっくりと指圧しましょう。

脳膜区

手の甲にあり、中指と薬指の付け根の境にあります。このツボは、中途半端に指圧するとかえって胃酸過多の症状を悪化させる事がある為、かなり強めに指圧する必要があります。

爪楊枝の背やヘアピンなど細い物で、強めに刺激しましょう。痛いと感じる位強く刺激すると効果的です。

陽陵泉

足にあるツボで胃酸の過剰な分泌を抑える作用のあるツボです。足の外側にくるぶしから、まっすぐ膝に向かってあがって行くと膝の下の骨にぶつかります。その下にくぼんでいる所が「陽陵泉」のツボです。

親指や指圧棒などで、あらゆる角度からツボを刺激してみて下さい。胃酸過多の症状がある場合、あるピンポイントが以上に痛い場合があります。

痛みが強い所を中心に指圧すると、胃酸の分泌を抑えられ症状が緩和されます。

ツボを刺激すると症状は緩和されますが、やはり胃酸過多の場合根本的な治療が必要です。

食事の量をへらす、消化の良い食事を心がける、大食いを辞める、早食いを辞める、アルコール、タバコも控えるなどの心がけも大切です。

胃酸過多は早期治療をすると悪化する事無く、改善します。

悪化すると他の病気に発展する可能性が高い為、症状が現われたら早めに病院で治療を受けた方が良いでしょう。



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食道がんの診断

身体所見

早期がんの場合はそれに伴う身体所見はほとんどありませんが、進行がんでは、ときに右もしくは左の鎖骨上部リンパ節腫大を認めます。反回神経麻痺による嗄声を認めることもあります。


画像所見

食道造
硫酸バリウムをのみX線撮影を行う方法で、比較的簡便にがんによる食道の狭窄、変形を描出することができますが、早期癌の診断は困難です。

内視鏡
進行癌のみならず粘膜面にとどまる早期がんの診断に有用です。

内視鏡検査とあわせて行う生検による病理学的診断が食道がんの確定診断となります。

内視鏡で見ただけでは癌がわかりにくいため、ヨードを用いた染色が一般的に行われています。

がん細胞は正常細胞と比較してグリコーゲンが少なく、染色されず白い状態となっているため、癌の存在部位を的確に知ることができます。

超音波内視鏡検査
食道がんの深達度を判断するために施行されます。周囲リンパ節への転移も評価できます。

食道がんの深達度診断は進行期を決定して治療方針を検討するために重要です。

CT(コンピュータトモグラフィー
食道がんの周囲組織への浸潤やリンパ節、遠隔臓器への転移の有無を診断し、進行期を診断するために行われます。

食道がんはリンパ節転移や遠隔転移をきたす頻度が高いため、進行がんでは必須の検査です。

PET
CTによる判断が困難な転移巣の評価に有用です。2006年4月から保険適応の検査となりました。

腫瘍マーカー
食道がんに関しては、診断、治療効果判定、予後評価のいずれかにでも役立つ物は少ないですが、SCC、CEAなどが比較的よく用いられています。




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食道がんの発生と進展

日本人の食道がんは、約半数が胸部食道の真ん中から,次に1/4が食道の下1/3に発生します。

食道がんは食道の内面をおおっている粘膜の表面にある上皮から発生します。

食道の内面をおおっている粘膜から発生したがんは,大きくなると粘膜下層に広がり,さらにその下の筋層に入り込みます。

さらに大きくなると食道壁を貫いて食道の外まで広がっていきます。

食道の周囲には気管・気管支や肺,大動脈,心臓など重要な臓器が近接しているので,がんが進行しさらに大きくなるとこれら周囲臓器へと広がります.

食道壁の中と周囲にはリンパ管や血管が非常に豊富です。

がんはリンパ液や血液の流れに入り込んで食道を離れ,食道とは別のところに流れ着いてそこで増えはじめます。

これを転移といいます。

リンパの流れで転移したがんは,リンパ節にたどり着いて塊をつくります。

食道のまわりのリンパ節だけではなく,腹部や首のリンパ節に転移することもあります。

血液の流れに入り込んだがんは,肝臓,肺,骨などに転移します。




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良性食道腫瘍の症状と治療

食道良性腫瘍において実際に治療が行われることは余りありません。

症状も無症状のものが多くを占めます。

食道良性腫瘍の種類には平滑筋腫、ポリープ、血管腫、乳頭腫、脂肪腫、、顆粒細胞腫、リンパ管腫、線維腫などがあります。

正常上皮におおわれた粘膜下腫瘍の形態を呈するものもあります。
 

良性食道腫瘍の症状

食道良性腫瘍の大部分は無症状で経過します。多くは健診診断時の上部消化管造影や内視鏡検査で偶然発見されることが多くあります。

��~5cmを超える大きな腫瘍の場合は、圧迫感や胸やけが認められることがあります。

腫瘍の表面に潰瘍を形成して出血を来すものもあります。血管腫にいても多くは無症状ですが、まれに大量出血を来すことがあります。


良性食道腫瘍の検査

食道良性腫瘍の診断にはバリウムを用いた食道造影、食道内視鏡検査、食道超音波内視鏡検査が行われます。
内視鏡下生検組織診によって確定診断をします。

粘膜下腫瘍の形態を示す腫瘍は非腫瘍性上皮におおわれているため、生検では腫瘍成分が採取されない可能性があり、組織診断ができないこともあります。

平滑筋腫、脂肪腫、線維腫、顆粒細胞腫は、粘膜下腫瘍の形態を示します。乳頭腫は、乳頭状隆起または有茎性腫瘍として認められます。

血管腫は比較的平坦なポリープ状で、青色を帯びた平滑な隆起として認められます。


平滑筋腫

食道良性腫瘍のなかで発生頻度が最も高く、約70~90%を占めます。

その発育形式によって腔内型、壁内型、壁外型に分類されます。

表面が平滑な半球状または卵円型を呈することが多く、粘膜下腫瘍の形態を示します。内視鏡検査ではヨードに染色されます。

また、組織学的には、発生起源から粘膜筋板由来型と固有筋層由来型に分類されます。生検または切除組織では、腫瘍細胞は紡錘型(ぼうすいけい)を示します。


良性食道腫瘍の治療

食道良性腫瘍の生検組織診によって良性腫瘍と診断されたもので無症状の症例については、その多くが経過観察されます。

組織の増大傾向のあるものや確定診断が得られないものでは、切除術が行われます。

上皮性腫瘍の場合やサイズが小さな症例は内視鏡的切除術によって摘除します。 

平滑筋腫のように粘膜下腫瘍の形態を示すものは、小さなものでは内視鏡的に切除しますが、大きなものは開胸または胸腔鏡下での核出術を行います。

血管腫は、出血の危険性のある大きなものについては、内視鏡的硬化療法や外科的治療が行われます。




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食道潰瘍・食道炎の症状と治療

食道潰瘍・食道炎は、何らかの要因で食道粘膜が傷害され、炎症性の変化が生じた状態です。

最も多いものとしては逆流性食道炎です。

内服薬が食道内に停滞することで発症する薬剤性食道炎、強酸や強アルカリなど腐食性薬剤の誤飲による腐蝕性食道炎などがあります。

感染症による食道炎としては、カンジダの感染によるカンジダ性食道炎、ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルス感染によるウイルス性食道炎があり、食道潰瘍の合併が認められます。

放射線性食道炎は、頸部や食道、胸腔内の悪性疾患に対する放射線治療中に起こる、放射線照射による食道炎です。
 
食道潰瘍・食道炎の症状

食道炎や食道潰瘍でみられる症状は、みぞおちから胸の中央にかけて込み上げるように熱くなる胸焼けです。食後に起こりやすく、とくに食べ過ぎた後や油っこい物を食べた後の胸焼けが逆流性食道炎では特徴的です。

口の中へのすっぱい物の込み上げ、胸のつかえ感、胸痛などがみられます。

食道炎以外の逆流症の症状としては、のどの違和感、慢性的な咳、中耳炎などがみられます。


食道潰瘍・食道炎の検査

上記の症状から逆流性食道炎を疑いますが、食道ガンや狭心症などの心疾患でも同様の症状を起こすことがありますので、内視鏡検査は欠くことのできない診断法です。

内視鏡所見は、炎症の程度により粘膜の色が赤くなったり、白色に変色する軽度のものからびらんや潰瘍を形成するもの、狭窄をきたす重症のものまで様々です。

これらの変化は食道の下部に強く起こり上部に向かって軽くなっていきます。内視鏡検査で上記の所見があれば診断は可能ですが、自覚症状があっても内視鏡では明らかな所見がみられない場合があります。

このようなとき、食道内への酸の逆流を確認するため2mm程度の細い電線(pH〈ペーハー〉センサー)を鼻から食道下


食道潰瘍・食道炎の治療

薬や化学物質による食道炎では、原因となった薬剤を除去し、食道を刺激しないよう絶食とし、その後は逆流性食道炎と同じ治療を行います。

逆流性食道炎の治療の基本は、食道内に酸が逆流し粘膜を刺激するのを防止することです。

それには、胃酸分泌を抑える方法と、逆流そのものを防ぐ方法があります。

初期治療は、薬により胃酸分泌を抑える薬物療法です。

その後、徐々に薬を減量し維持療法とします。

難治性で再発を繰り返すものでは腹腔鏡での逆流防止手術が行われます。

最近では、内視鏡により食道や胃の内面から緩んだ部分を狭くして、逆流を防ぐ治療法も行われています。

また、深い食道潰瘍となったものでは、治る過程で引きつれができ食道が狭くなることがあります。

このような時、食物の通過が悪くなれば内視鏡による拡張の治療が行われます。


食道潰瘍・食道炎の予防

逆流を起こさないために以下のような生活習慣の改善が必要です。

てんぷら、フライなどの高脂肪食、ケーキ、饅頭などの甘いもの、柑橘類など胸焼けを起こしやすい食べ物はできるだけ避け、暴飲暴食、早食い、すすり飲みは胃を大きく膨張させ逆流の原因となりますのでやめるようにしましょう。

食後はすぐ横にならないようにし、寝る前の2時間くらいは食べないことも大切です。

逆流の起こりやすい人は、布団の下に座布団などを入れ上半身が高くなるようにして寝ると夜間の逆流を防ぐことができます。




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突発性食道破裂とは

突発性食道破裂はブールハヴィー症候群とも呼ばれ、飲酒後の嘔吐により食道内圧が上昇して、正常の食道が破裂するものです。 

下部食道の左側が破れることが多く、時に中部食道の右側が破れることもあります。

死亡する危険性が高い疾患です。


突発性食道破裂の症状

突発性食道破裂は、嘔吐反射が起きた際に、嘔吐をこらえ食道内に嘔吐物が充満し、瞬間的な内圧の上昇により食道壁が破裂します。

そのため嘔吐反射直後、突然バットで殴られたような胸痛が発生します。

呼吸困難、冷汗、顔色が青くなりショック状態となります。

時には首のまわりがはれ、押すとプチプチという感じがすることもあります。


突発性食道破裂の検査

嘔吐など急激に腹腔内圧が上昇する原因があれば、と発性食道破裂がうたがわれます。

症状から、心筋梗塞や解離性動脈瘤などと誤診しやすく、しばしば血清アミラーゼ値(正常値:37~125U/L)の上昇と胸水貯留を伴うため急性膵炎と誤診しやすい傾向にあります。

短時間のうちに全身状態の悪化を伴うため、早期診断が重要となります。


突発性食道破裂の治療

突発性食道破裂の診断により、全身状態の悪化が認められれば、救命目的の緊急手術の適応となる事が多くあります。

発症後24時間以内に手術できた症例では、破裂部の一期的縫合閉鎖が可能でです。

食道壁の損傷が激しかったり、手術までに時間を要したために、破裂部位の縫合閉鎖が不可能な場合は、穿孔部にTチューブを留置して外瘻化(臓器が管状に皮膚に開口している状態)を図ったり、胸部食道切除術を施行し二期的再建を考慮する必要があります。

突発性食道破裂の症状が軽微で、全身状態も安定している状態では、食道造影で造影剤の漏出が縦隔内にとどまっていて、漏出した造影剤も速やかに食道内に戻る場合には、抗生剤投与、高カロリー輸液、経鼻チューブの間欠持続吸引による保存的治療で軽快することもあります。


突発性食道破裂の予防

特質的な病変によるものではないため、予防方法は確立されていません。

嘔吐などの内圧が高くなる状況の後に胸部の激痛が伴った際には、早急な治療をすることが大切です。




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食道静脈瘤の症状と検査

食道静脈瘤とは、肝硬変や慢性肝炎、あるいは門脈や肝静脈の狭窄・閉鎖によって門脈圧が上昇し、その結果、食道の粘膜下層の静脈が太くなり、さらには破裂するものです。

その結果、吐血や下血が起こります。

肝硬変の死亡原因の主要なもののひとつで、緊急治療を要する恐ろしい病気です。
 

食道静脈瘤の症状

食道静脈瘤が破裂すると吐血を来たします。静脈性の出血ですが大量の血液が 流れ出るので死に至ることもあります(肝硬変を合併している場合には止血機能も低下している)。


食道静脈瘤の検査

(食道造影)
 食道静脈瘤は食道内へと突出するために静脈が蛇行している様子などが明らかになります。

(内視鏡検査)
 食道静脈瘤が破裂しそうかどうかもある程度判断することができます。基本色調は、白色静脈瘤と青色静脈瘤で、後者が破裂のリスクが高くなります。また、cherry red spot、ミミズ腫れ様、血豆様のRC signが見られた場合には、 静脈瘤の破裂の前兆で注意が必要です。




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食道がんの初期症状

食道がんの初期症は沁しみるような刺激です。

最初に見られる現象は食道の粘膜が熱いものやアルコール又はタバコなどの刺激に伴っていつもとは違う感覚を引き起こします。

熱いものや辛いものなど刺激のある食物が沁しみるような刺激がし、ある程度癌が進行してくると食道が狭くなり、食べ物が通りにくくなります。


食道がんの自覚症状

食べ物が初期の場合には軽くものがつかえる感触
食道に何かが引っかかっている感じ
食事をすると吐き気や嘔吐を催す


このように食べ物や飲み物が食道 を通るとき自覚症状が起こるのですが、これらが食道がんの初期から中期の症状といえます。

食道がんがだんだん進行してくると、食道が細くなり野菜や肉などの固形物が通過できなくなります。

食道のすぐそばには声帯をコントロールしている重要な神経がある のですが、食道がんの進行につれてその神経を侵してしまうと 声枯れが起こります。 食事中に胸の痛みを訴えることも出てきます。

定期健康診断で発見されたときに早期の場合には、内視鏡検査で発見されます 

食道がんのがん細胞が、食道の表面粘膜の厚さの約60%以内で進行がとまっていれば、他へは転移がしないと言われており、内視鏡カメラで食道がんの細胞部分だけ切除することが可能で、食道がんは完治できます。




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食道がんの放射線療法

食道がんの放射線治療は、進行した食道がんである場合や、食道がんが切除しずらい場所にある場合、患者さんに手術できる体力がない場合などに行われることが多い治療法です。

化学療法や放射線化学療法に耐えられない場合にも行われます。

放射線治療の方法は、体の外から照射する「体外照射」と、食道に放射線が出る物質をいれて身体の中から照射する「腔内照射」があります。

放射線の副作用は、主に放射線が照射されている場所におこるので、治療している部位により副作用は異なります。

のどの部分を放射線治療した場合の副作用は、飲み込む時の違和感、疼痛、喉の乾き・声のかすれなどが起こることがあります。

胸部を放射線治療した場合の副作用は、飲み込む時の違和感、疼痛などが起こることがあります。

腹部を放射線治療した場合の副作用は、腹部の不快感、はきけ、嘔吐、食欲低下、下痢などの症状が出る場合があります。

照射した部分の皮膚が日焼けのような状態になる、全身の倦怠感なども起こる場合があります。




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食道がんの生存率

食道がんの生存率はステージで決まる

食道がんの生存率は、癌の進行の度合いで決まってくるのです。


ステージ 0期  
粘膜上に留まるがんならば内視鏡や手術で除去できますから 5年生存率は100%です。


ステージ1期
がんの位置が粘膜の下層以内に留まる状態なので 転移は 免れているはずです。 5年生存率はリンパ節には全く転移を起こして いないとして 80%と言えるでしょう。


ステージ2期
癌が筋層を越えていても癌の近い周りのリンパだけの転移であることと 内臓や 胸膜・腹膜に癌が見つからない状態であること。 5年生存率は45~50%です。


ステージ3期
がんが固有筋層を越え周囲の内臓にも入り込んでがん細胞が周囲の 組織を 少しづつ破壊しながら侵入して拡大していくこと 5年生存率は25~30%となります。


ステージ4期
ここでは他の内臓に転移しております。 5年生存率は手術後の5年生存率は 10~15%でしょう。





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食道がんの中期と末期の症状

漸進的な嚥下障害

漸進的な嚥下障害は大多数の患者の主な症状です。

嚥下障害は、多くの場合、患者が診察を受ける理由です。

残念なことに、癌の中後期症状です。

食道は、柔軟性と拡張機能を持っているためです。食道円周の3分の2が癌の影響を受けている場合にのみ、嚥下障害が発生します。

最初は、食道がんの患者さんが固形食を飲み込むことができません。その後、その後、流動食を飲み込むこともできません。

これは、食道がんは食道の弾性筋肉を損傷し、食道を妨害した結果です。

食道内腔が狭くなると、嚥下障害が発生します。食道壁の炎症、浮腫、痙攣を伴う場合には、嚥下障害が悪化する。

食道閉塞感が生じる位置は、食道がんの位置にあります。


食べ物の逆流

食道が狭窄や閉塞ならば、飲み込んだ食べ物は食道上部に滞在することができます。

従って、食べ物の逆流を引き起こします。

逆流物には粘液や混合食べ物や血まみれの物質や壊死物質があります。食べ物の逆流は食道がん症状、または食道逆流症の症状です。


嚥下痛

嚥下痛は、中期と末期の食道がん症状です。

嚥下痛の原因は、浸食や潰瘍、癌の浸潤、食道炎かもしれません。

熱い、酸性食品を食べるのは、嚥下痛を悪化させることができます。首や喉に食道の痛みのほかに、痛みが首や肩や胸や背中に放散することもできます。


その他の末期の食道がん症状

栄養失調や体重減少、慢性的な脱水症状、衰弱があります。原因は、長期的な摂取量の不足です。

左鎖骨上窩に癌性の腫大したリンパ節が存在する可能性が大きいです。

食道がんは首に反回神経を圧迫したら、嗄声があります。

食道がんは、気管を損傷することがあれば、食道気管支瘻、縦隔膿瘍、肺炎、肺膿瘍、大動脈出血が発生することがあります。





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酒を飲んで顔が赤くなる人は食道がんに要注意

酒が弱い体質なのに習慣的に飲み続け、酒飲みとなった人は、食道がんになりやすいという研究結果が発表されました。

酒を呑むと、アルコールは肝臓でアセトアルデヒドという物質に代謝され、それを酵素が分解し、最終的には水と炭酸ガスになります。

酒が弱い人はこのアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱く、顔が赤くなったり、悪酔いしやすいのです。

この酵素には活性が強いタイプと弱いタイプがあり、両親からどの組み合わせの遺伝子を受け継いでいるかで、酒が飲めるか飲めないかが決まります。

日本酒に換算して約2合(0.36リットル)の酒を毎日呑んで食道ガンになった人(29人)と、同量の酒を呑んでも食道ガンにならなかった人(28人)を対象にし、酵素のタイプと食道ガンの関係を調べた結果、酒で顔が赤くなるタイプの人は、赤くならないタイプのに比べ、12.2%の食道ガンになりやすいことが分かりました。

アルコール依存症の患者でも同じ様な傾向があることが分かりました。




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食道がんに効く食品

緑黄色野菜(かぼちゃ)
カボチャに含まれるβ-カロテンが体内でビタミンAに変換され、粘膜の強化に効果を発揮します。


アスタキサンチンに強い抗酸化作用があります。

減塩
塩分過多が粘膜を荒らすため、減塩が望ましいです。

禁酒・禁煙
食道壁を荒らす飲酒・喫煙は最大危険因子になります。


食べ物が真っ先に通過する食道は、食べ物の刺激を受けやすく、粘膜に細菌や毒性物質が直接作用されます。

粘膜を保護するために、カボチャが有効になります。
カボチャに多く含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変化し、目の働きや粘膜を強化します。

強力な抗酸化物質、アスタキサンチンを含む鮭も効果的です。
鮭の身は赤い色をしていますが、本来は白身魚です。
その赤い色に強い抗酸化作用が含まれているのです。
アラスカサーモンを少量ずつ摂取し、半年で食道がんを完治した例もあります。

飲酒と喫煙は、食道がんの最大の危険因子となります。
大量の飲酒かつ喫煙家の人の食道がん羅患率は、禁酒・禁煙の人の14倍といわれています。

アルコールに、たばこのニコチンなどが溶け合ったものが食道壁を荒らしている症例が多いです。

同時に粘膜の正常化や免疫能向上のための野菜・果実の摂取が威力を発揮し、がんの改善がみられた例も比較的多いです。

統計調査では、野菜や果物をたくさん食べる人は、食道がんになるリスクが低いことが分かっています。




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食道がんの初期症状

食道がんの初期症状はほとんどありません。

食道がんの早期がんの90%は無症状です。

早期の食道がんは検診や人間ドッグの時に偶然に発見されるケースが20%近くあります。

がん自体には痛みはなく、がんが大きくなって、臓器や神経を圧迫することから痛みが生じるのです。

食べ物を飲み込んだ時に「しみる」感じがするようです。

お酒の一口目とか、熱いお茶などを飲む時にしみますし、胸の奥がちくちくと痛むような感じがあります。

食べ物をのどに通す時につかえる感じがすることもあります。

酢の物や酸味のある柑橘類を食べる時にもしみることがあります。

日常生活に支障がでるほどではありませんし、がんが大きくなると、これらの症状はすぐに消えてしまいますので、少し気になる場合はすぐに病院に行きましょう。

早期発見の手がかりになることがあります。

若い人なら特に気にする必要はありませんが、中高年で飲酒や喫煙の習慣がある人は特に注意したほうがよいと思います。




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食道がんのステージ

食道がんはステージによって、治療法や生存率は違ってきます。

食道がんのステージは、0期~4期までの5段階に分かれます。

食道は、内側から粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、二層ある固有筋層、外膜の6つの層に分かれています。

がんは粘膜に出来て、だんだんと外側に向かって発育していきますから、それに合わせて、ステージ分けされます。

ステージ0
「がんが粘膜にとどまっており、リンパ節や他の臓器、胸膜や腹膜に転移していない状態で、早期がんと呼ばれます。

ステージ1
「がんが粘膜にとどまっているが、近くのリンパ節に転移している状態」または、「がんが粘膜下層まで浸潤しているけれど、リンパ節や他の臓器、胸膜や腹膜に転移がない状態」です。

ステージ2
「がんが筋層を越えて食道の壁の外にわずかに出ていて、ごく近くのリンパ節にだけ転移があり、他の臓器には転移していない状態」です。

ステージ3
「がんが筋層を越えて、食道の外に明らかに出ている状態」または、「食道の壁に沿っているリンパ節か、食道がんからやや離れたリンパ節にがんがあり、他の臓器に転移していない状態」です。

ステージ4
「食道周辺の臓器にまで浸潤がある場合」または、「がんから遠く離れたリンパ節に転移している場合か他の臓器や胸膜、腹膜にも転移している状態」です。
これは、もう末期がんの部類に入ります。

食道がんのステージ分けは、リンパ節の転移の状況によります。

わずかな転移であっても、遠い場所にあるリンパ節に転移している場合は、ステージ4に入ります。




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食道がんの治療法

食道がんの治療法には、大きく分けて4つあります。

内視鏡治療・外科手術・放射線治療・抗がん剤治療です。

がんが食道の粘膜にとどまっている極めて早期のがんに対しては、内視鏡治療を行います。

これは、メスでおなかを切り開く必要がなく、先端に小型のカメラがついた内視鏡を体の中に入れるだけで治療できます。

手術時間も少なく、傷跡も非常に小さいので、患者の体への負担は少ないというメリットがあります。

内視鏡的粘膜切除術で切り取れない場合は、外科手術が行われます。

これが、食道がんの治療で最も一般的なもので、がん病巣と一緒にリンパ節を含む周囲の組織を切り取ります。そして、食道の一部を切り取った後に食べ物が通る新しい道を作ります。

外科手術で対応できない場合は、放射線治療を行い、さらに全身にがんが進行した場合や体力的に外科手術や放射線治療が難しい場合に抗がん剤治療を行います。

食道がんが進行する具合に応じて、治療法は変わります。



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食道がんは悪性度の高い癌

食道がんは、他のがんに比べて非常に悪性度の高い癌です。

悪性度が低いがんから確認すると、悪性度が一番低いのは、甲状腺がんです。

これは、10年ほど放置しておいても悪化せず、大きくなることも、体に影響を及ぼすほどの症状を引き起こすこともありません。次に、乳がんや子宮頸がん、大腸がんです。

次に、胃がんですが、胃がんは、分化がんとこれから進行する余地が大きいがんの種類のがんが、半分ずつ
くらいあって、特に未分化がんは早期がんでもタチが悪いです。

次にくるのが、食道がんです。胃がんに比べると悪性度は高くなります。

食道がんの特徴は、早期の段階で、遠い所にあるリンパ節に転移することが多いことです。

食道の周りには心臓や大動脈、気管などの重要な臓器があるので、浸潤しやすく、いったん浸潤すると助かる可能性は極めて低くなります。

食道がんより悪いのは肺がんです。肺がんは非常に転移しやすく、肝臓や頭にも転移していきます。
次が、肝臓がん、胆のうがんです。

がんの中で最もタチが悪いのは、すい臓がんです。

すい臓は体の奥深くに位置しており、周りを胃、十二指腸といった重要な臓器に取り囲まれています。

発見も非常に難しく、見つかった時点ではすでにかなり進行しているケースがほとんどです。



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食道がんの種類

食道にできたがんは食道がんになりますが、この呼び方とは別に、がんの形や大きさで分ける方法があります。

分類では、「扁平上皮がん」、「腺がん」、「小細胞がん」、「大細胞がん」、「腺扁平上皮がん」などに分けられます。

扁平上皮がんは、皮膚の細胞によく似ていて、早い段階での転移もなく、放射線や抗がん剤も比較的効きやすいがんです。

腺がんは、がん細胞が密集して、固まっていることが多く、放射線や抗がん剤は効きにくいです。

小細胞がんは、文字通り小さながんで、治りにくいのが特徴です。

大細胞がんは、扁平上皮がん、腺がんの区別がない、発展途上のがんです。

腺扁平上皮がんは、腺がんと扁平上皮がんの両方の性質を持ち合わせています。

また「分化がん」と「未分化がん」という分け方もあります。

分化がんというのは、成熟しているがんで、扁平上皮がんや腺がんは、「分化がん」に入ります。

未分化がんは、成熟が不十分なため、幼いがんです。

分化がんは、すでに成熟しているので、それ以上進行する余地は少なく、浸潤や転移が少ないのに対し、未分化がんは発育が早く、転移もしやすいという特徴があります。

小細胞がん、大細胞がんは未分化がんに分類されます。

日本人は、圧倒的に扁平上皮がんが多く、日本人の食道がんも扁平上皮がんが大半を占めます。



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食道がんの進行した時の症状

食道がんが進行して大きくなると、食道の内部が圧迫されて狭くなるので、食べ物を飲み込む時につかえるようになります。

次第に柔らかい食べ物でさえ、飲みこみにくくなりますし、最終的には唾液や飲み物でさえつかえるようになります。

食べ物が飲み込みにくくなると、食べる量が減ってしまうので、体重も減少します。

体重の減少は他のがんにも見られる症状ですが、体調の悪化による体重減少に加えて、食道がんの場合は、「食べられないこと」により、さらに体重が落ち込むことがあります。

��ヶ月という短い期間で、5~6キロも体重が減ることもあります。

食道の他の臓器に転移すると、症状は深刻です。

食道の周りには、喉頭や気管、気管支、肺、心臓、背骨、大動脈など重要な臓器があるので、これらに転移すると大変です。

気管や気管支、肺などの呼吸器にがんが及ぶと、せきや声がれ、呼吸困難、肺炎などが発症してしまいます。

時には血が混じったタンが出ることもあります。

がんが食道を越えて、外に広がると背中を圧迫して、背中や胸が痛みますし、大動脈にまで到達すると大出血を引き起こすこともあります。




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食道がんの外科手術

食道がん治療において、外科手術は、最も一般的な治療方法です。

食道内部にあるがん病巣と一緒に近くのリンパ節も切り取る手術で、食道の一部を切り取った後には、食べ物が通るための別の通り道(バイパス)を作る作業を行います。

がんが発生する場所(頸部、胸部、腹部)によって手術方法も違います。

注意するべきポイントは、手術によってがんを残すことなく、きれいに切り取ることができるか、ということです。もし、取り残しがあれば、それが大きくなって、後で再発してしまいます。

そのため、食道だけでなく、頸、胸、腹の広い範囲を含むリンパ節と周辺の脂肪組織も切り取ります。

食道の周りには、多くの重要な臓器がありますので、ざっくりと切り取るのではなく、周りの臓器をうまく避けながら慎重に手術を進める必要があるので、難易度は高いです。

外科手術は体にメスを入れるので、体力的な負担は大きいです。

年齢によっては外科手術を行えないケースもあります。

一般的には、外科手術が可能な年齢の上限は80歳だと言われて
います。

また、外科手術は肺炎や縫合不全などの合併症を引き起こすことがあります。

特に食道を切り取った後に新たな通り道を作るために胃や腸を縫い合わせるのですが、そこがほつれてしまうのが縫合不全で、手術したケースの約20%あるようです。



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