食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)

食道静脈瘤の主な症状
 食道の静脈への血流が増し、食道静脈(ショクドウジョウミャク)のうっ血や緊張が起こって、静脈が大きく膨らんで、蛇行した状態です。肝硬変(カンコウヘン)などの門脈圧亢進症などが原因です。なんらかのきっかけで静脈瘤に傷がつくと、食道静脈瘤(ショクオヅジョウミャクリュウ)が破裂して、大量の吐血(トケツ)や下血(ゲケツ)を起こし、ショック状態になることもあります。


食道静脈瘤の検査方法
 食道静脈瘤の診断は、上部消化管内視鏡検査で行われます。静脈瘤破裂の危険性を知るためには、静脈瘤の観察を慎重に行うことが必要とされます。破裂の危険性が最も高い兆候として、発赤(ハッセキ)所見が重要とされ、早急な治療が必要です。また、基本色調が青色のものは白色よりも粘膜が薄くなって緊張感が強く、破裂の危険性が高いことを示します。ほかに、出血した場所にみられ再出血の原因となる所見に、静脈瘤にくっついた赤色栓、白色栓などがあります。超音波検査や造影CT、MRIなどは、門脈系や腹腔内の血管の状態を診断するのに有用とされています。


食道静脈瘤の治療方法
 吐血(トケツ)などの緊急例に対しては、内視鏡的治療が第一選択となります。緊急の場合は、どこから出血しているのかを見つけ出すことが最優先となりますが、食道は狭い筒状の臓器で、出血が起こっている最中には内腔に多量の血液がたまっているので視野を確保するのが困難になります。このため、静脈瘤治療に精通した内視鏡医が担当することが重要です。出血している場所がわかれば、内視鏡下に静脈瘤内あるいは周囲に硬化薬を注射する硬化療法を行います。肝機能が悪い場合は、より簡便な、静脈瘤(ジョウミャクリュウ)に輪ゴムをかける結漿(ケッショウ)療法を選択します。緊急でない場合も、静脈瘤からの出血を予防するため、内視鏡で観察しながら硬化療法を行います。
肝機能が低下していたり、出血がひどくですぐに治療が困難な場合には、バルーンで圧迫止血を行ってから内視鏡治療が行われます。

「下血(ゲケツ)」とは?

食道や胃、十二指腸からの出血のことです。上部消化管から出血すると、便が黒色となったり、多量の場合はコールタールのようなタール便がみられます。結腸や直腸などからの出血は鮮紅色であり、血便と呼ばれます。


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