内視鏡による食道がんの治療

がんが浅く、粘膜の表面にとどまっている食道がんには、内視鏡的粘膜切除術で治療することができます。

内視鏡でとれるがんの大きさと数には限りがありますが、安全性が高く、食道も残すことができます。

また、再発率は約2%ほどという報告がありますが、リンパ節や他臓器への転移もほとんどないため期待される治療法です。

【適応される人】

患者さんが手術を望んでいない
患者さんの体力が不安で手術に耐えられない
がんがリンパ節に転移していない
食道の全周性ではなく、3分の2以下


最大のメリットは負担が小さく、食道を残せること

内視鏡的粘膜切除術の最大の利点は、負担の小さい治療法であり、食道を残せるという2点に尽きます。

麻酔をしなくても実施することができ、軽い痛み止めを使うだけです。緊張の強い人には、精神安定剤で眠らせることもあります。

治療にかかる時間は1時間程度で、当日は入院して点滴を受けることになります。翌日以降は食事をとることができるようになります。

内視鏡的粘膜切除術は、安全性がきわめて高い方法ですが、1%ほどの確率で、治療中に食道の壁に孔が開くことがあります。

胃や大腸の場合は、早急に開腹手術をしなければなりませんが、食道の場合は手術をする必要はありません。ごく小さな孔であることがほとんどで、点滴を1週間すれば自然にふさがってきます。

食道からは出血もほとんどなく、穿孔は患者側は気づきません。痛みを感じることもなく、熱が少し出る程度になります。




            ec042_pic02.gif