食道がんの進行速度

食道がんは、がんのなかでも進行速度が速いがんです。
理由のひとつは、食道がんが初期の段階では自覚症状があまりないという点です。

食道がんは、食道下部の粘膜にがんができる場合が多く見られます。
なにかを食べたり飲んだりしたときに、このがんにひっかかることで違和感を覚えることでようやく自覚できる状態になりますが、それでも初期段階のがんは決して大きくないため、気づきにくいという特徴があるのが食道がんです。

薬を飲んで検査をするとしても、肝心のがんの部分がひっかかることなく薬だけが食道の中を流れていくので、これも食道がんを発見しにくい理由のひとつではないかと考えられます。

自分自身が覚える小さな違和感としても、なにかがしみる、ひっかかるという程度で、大きな痛みを伴うのはがんが進行してからになります。
固形物が飲み込めないというような状況になった場合は、既に初期症状が進行した状態です。
そのため、気づいたときにはがんの進行を許してしまっていて、進行速度が速いと感じることが多いのです。

そして、食道がんの転移が発生しやすい粘膜下層にがんがたどりついたとき、急に進行速度が速まります。
食道の粘膜下層には、リンパ節や血管が集中しています。

ここからリンパ液や血液をたどって全身へとがん細胞を運び、ほかのリンパ節や臓器にがんを転移、再発させてしまうのです。

この進行速度の急激な変化も、食道がんが進行速度が速いと考えられる理由です。

早期発見があまり簡単ではなく、気づいたときには転移の準備をしている、それが食道がんです。

しかし現在では、食道がんの初期症状がさまざまなかたちで情報として出回っており、いつもと異なる感覚に気づいた方が自発的に医師のもとを訪れ、検査をしてがんの早期発見に結びつけることも少なくありません。




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